カロタイプネガのつくりかた
まずは薬品と紙とハケを準備します。
ハケ 柔らかいハケを用意します。硬いと紙を傷めてしまいます。適切な大きさのハケを十分量用意しましょう。私は100円ショップのハケを使っています。
薬品 薬局ではあまり売ってくれないし、 ヨドバシカメラ等にも当然無いので、 薬品を手に入れるのはちょっと大変かもしれません。 私は林ケミカルさんから買ってきます (ただチオ硫酸ナトリウムはヨドバシカメラで買えます)
紙 支持体です。光の透過性が良く薄い紙で、 かつ薬品や水洗や乾燥に耐えられ、 なるべく平面性が良くて化学的な不純物がない事が要求されます。 厚さは普通の白黒印画紙より少し薄い程度が良く、 漂泊処理をしていない和紙や紀州製紙製の上質紙なんかが 良いらしいですです。 私は紙は大きな画材屋さんで買っています。
その他 秤、薬品の保存用のビン、ビーカー、 平らなプラスチックもしくはガラスの板が必要です
紙を切ります。撮影するカメラによっては 精確に切らないと入らない事もあるので、 鉄尺とカッターで慎重に切りましょう。 大きめに切っておいて撮影の直前にさらに切る方がより精確かも
液を調合します。ビーカーなどに入れて、 ガラス棒を使ってかき回してとかします。 硝酸銀が皮膚や服に付くと汚れが落ちないので、 作業衣やゴム手袋等を着用しましょう。A液とB液は感光してしまわないように、 褐色ビンに入れて貯蔵します。
紙に薬液を塗って感光紙を作ります。 感光しないように暗い部屋で安全光の下で、 平らなプラスチックもしくはガラスに置いて塗ります。 部屋に液が飛び散っても良いように新聞紙等を敷くと良い。 紙に塗る液の量は紙の厚さによりますが、だいたい5〜10mlくらいです。 一度使った液を回収して再使用するのはカブリの原因になるので 常に新液を使用する。 和紙やろ紙等の液が全体ににじむものを除いて、 液が紙の裏に回らないように注意する。 ハケは蒸留水で洗って乾かしてから使用する。 ハケは各液専用のものを用意する。もしくは使い捨てにする。 ハケの代わりにティッシュペーパーを使い捨てにしても良いそうです。 塗る際はムラにならないように何度もハケを往復し丁寧に塗ります。 液が少なかったりすると紙を傷めます。 乾燥の際しわが出ないようにするには、平らなプラスチックの上に置いて傾斜させて 放置しておくと良い。紙の下部にたまってくる余分な液は、 吸い取り紙で取り除きましょう
A液を塗ります。紙の片側に均一に塗り、乾燥させます
紙が乾いたらB液を塗ります。B液は安価なので、 バットに注いで紙を浸しても良い。 そうしたら2,3分放置してから流水で水洗し、乾燥させます。 この時点で感光性を持つヨウ化銀紙が出来ます。 これは保存性が良いのでたくさん作っておいて、 遮光袋に入れてストックしておいても良い
C液とD液の1:1の混合液(ガロナイトレート[Gallo-nitrate of silver]) をつくり、AB液と同じ面に塗ります。ガロナイトレートは数分で黒くなって 使えなくなってしまうので、使用直前に混合すること。 乾燥させると感光紙は完成です、でも半乾きでも使えます。 感光紙はカメラやホルダーに入れるか、遮光袋に入れるかして 撮影場所まで持っていきます
感光紙をカメラに入れて撮影します。 一部の古い文献にはF11で一秒の露光で良い結果が得られた と書かれているそうです。 荒井宏子氏の本には10秒から2分の間で試し撮りをすると良いとあります。 私はF5.6で2分から10分の間で試し撮りをしています。
撮影済み感光紙にガロナイトレートを塗って現像します。 ムラが出ないように多めの液を使って浸すように塗ります。 余裕があれば六切のバットの場合50〜100mlのガロナイトレートに感光紙を浸して 現像します。浸す場合はバットを揺り動かしながら現像します。 頃合を見計らって流水に移し、2.3分水洗します
単ハイポ定着液に現像した紙を浸して定着します。 時間は20℃で5〜10分程。温度が低いと定着が不完全になるので注意しましょう 定着が終わったら20〜30分ほど流水で水洗し、乾燥します。
これでカロタイプネガの完成です。 ネガが曲がっていたら重しを載せたりして平らにします。 保存性を上げるためにネガを金属調色するのも良いでしょう
カロタイププリント(塩化銀紙[salted paper])のつくりかた
食塩水・食塩18g / 蒸留水1000ml
硝酸銀液・硝酸銀12g / 蒸留水80ml(とかした後に水を加えて100mlにする)
単ハイポ定着液・チオ硫酸ナトリウム 100g / 水800ml(とかした後に水を加えて1000mlにする)
紙とネガとハケと薬品と焼き付け枠を準備します。 焼き付け枠は無ければ展示用の額を使っても良いです。 食塩は精製塩を使います。 紙に含まれるサイズ剤等の薬品によって色調が変わったりします。 紙は薬品や水洗に耐えられる事が要求されます。 厚い紙の方が扱い易いです。 また、紙のかわりに布等を使っても良いでしょう
紙を切ります
紙を食塩水に浸します。紙の中まで十分に食塩水が浸みるようにします。 食塩水にゼラチンを入れて紙をサイジングしておいても良いです。 その後吊るして自然乾燥します。 シワがよったりカーリングしたらアイロンで平らにします 食塩紙は長期保存可能なので、たくさん作っておくのも良いです
食塩紙に硝酸銀液を塗り感光紙を作ります。 20W白熱電球程度の光ならば感光しないそうです。 昼間薄暗い部屋で塗っても大丈夫です。 この感光紙の有効保存日数は1〜2日だそうです。
ネガを感光紙に焼き付けます。ネガの画像が焼き付けられている面と 硝酸銀液を塗った面を合わせて、感光面を上にして焼き枠に入れ、 太陽光等紫外線を含む光を浴びせて焼き付けます。 紙は(紙にもよりますが)だんだん濃い紫になり、その後チョコレート色 になってゆき、その後微かに白っぽくなります。 それ以上は焼き過ぎになる事が多いです。 十分に焼き付けたら直射日光等の当らない部屋で、水の白濁が完全に消えるまで 流水で水洗します。
焼き付けた紙を単ハイポ定着液で定着します。20℃で10〜15分、定着液は 六切なら1Lにつき20枚の処理能力、一度使った定着液を回収して再利用するのは 止めた方が良いです
定着の終わった紙を流水に移して水洗します。 水洗時間は木炭紙の普通のものならば20〜30分。厚いものならば40〜50分位です。 私は厚い紙を使うので1時間ほど水洗しています。水洗時間を短縮するために 亜硫酸ナトリウム溶液を使うのも良いでしょう
水洗の終わった紙を乾燥すると、カロタイププリントの出来上がりです。 カロタイプネガ以外から製作したプリントは単にソルテッドペーパーと呼びます。 保存性が心配ならばさらに金属調色をすると良いでしょう。